市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』(03年)の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
本書に描かれているシチュエーションは20年前のものなので、金額などはそのあたり含みおきください
ゴゴ嬢の思考や行動も当時とはけっこう変わってきていると思います
仕事してるときは当たり前ですが、客商売、とくにホスピタリティ産業の中にはその職業上の人格をプライベートな分野でも、演じなければならない場合が多々あります。
フツーの仕事だって、プライベートにときに仕事関係の人と会ってしまった場合など、やっぱり〝素〟ではいられませんよね。
CAや看護師さんなどがその例で、とくに仕事の現場では本来の自分の感情は、それが業務に似つかわしくないものである場合は徹底的に抑え込むことが要求されます。
お客さんや患者さんがどんなに嫌な奴でも「死ねや、ジジイ」とは言えません。
このような職業を感情労働というそうです。また難しい言葉出てきた。
しかし、ゴーゴーバーのように性にからんだ対人接客サービスはその限りではないようです。個人的な感情が往々にして仕事でも出てしまうケースがあります。
デリヘルでデブスが来ちゃっても、良いサービスを受けたかったら愛想よくしなきゃいけないのは、そういうことでしょう。(そうなの?)
好き嫌い以上に、とりわけ恋愛感情はコントロールしづらいようです。
そもそもゴゴ嬢たちの仕事はプライベートと仕事の線引きがあいまいです。
従ってゴゴ嬢と客の関係も、カネを引き出すために恋愛関係や媚を演出したつもりが、演出ではなくなってしまうことも頻繁に観察される、と市野澤先生が言っておられるのもまあ頷けます。
そして市野澤先生は、「そもそも彼女らの仕事は大きな論理矛盾をはらんでいるのだ」と。
市野澤先生が言う矛盾の最たるものは、売り上げをあげるために〝親密さ〟を売っているという点です。
〝親密さ〟は取り引きの関係を介していくうちに自然と生じるもので、本来はそれ自体商品になるものではないのです。
だから〝親密さ〟を演出しているうちに、それが演出でなくなってしまうのは、当然の成り行きだとも言えます。
そんな矛盾に満ちたゴーゴーバーは、矛盾ゆえにいろいろな期待が膨らむからこそ、ホストの側からもゲストの側からも魅力的なのかも知れません。
このようなゴゴ嬢の仕事は、従来のホスピタリティ労働の概念ではとらえづらいことから、著者は〝オクシモロニック・ワーク〟という概念を提案しています。
これ、前回も出てきましたね。オクシモロニックっていうのは「公然の秘密」のような一見矛盾をはらんでいるかのような言い回しでしたけど、僕もこの言葉のおかげで何も頭に入ってこないので、「フツーのサービスの仕事とは違う」とだけ覚えてくださいw
男性客はゴゴ嬢に〝プライベートな親密さ〟を求める傾向にあります。
しかし、〝プライベートな親密さ〟とは、そもそもカネのやりとりとは離れたところでの関係性です。だからこそ、相手に対して心を開くこともあるだろうし、自分の弱い部分をさらけ出すこともできるのです。
〝プライベートな親密さ〟は本来カネ抜きであるべきなのに、〝そこにカネが絡んでくる仕事〟という概念はオクシモロニックなんだそうです。
〝プライベートな親密さ〟を求める男性客の要望に応えることでカネを得ようとするゴゴ嬢の仕事はそんな矛盾を常に抱え込んでいるといえます。
最初から最後まで演技することが出来れば、まあそれも商売と言えるのでしょうけど、ほとんどのゴゴ嬢にはそれは無理でしょう。
多くのゴゴ嬢たちの目標はものすごい大金を稼ぐことではありません。お客とほどほどに仲良くして楽しく時間を過ごせれば、それで良しとする女のコがほとんどです。
従って彼女たちは〝プライベートな親密さ〟を売るよりも、お客とホントにプライべーとに親密になる関係を選ぶ…のだそうな。
難しいですねえ。
つまり、なかなか1人のゴゴ嬢とプライベートで仲良くなれないということは、本当は好かれていないってこと?
確かにノリが合わないコってあっという間に自然消滅するというのはありますけど。
そして裏を返せばバンバン金品を要求されるってことは「好かれている」ってこと?
それはちょっと違うような気がwww
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