初めて中に入ったObsession。席につくなり〝嬢〟の怒涛の攻勢を受けます。
一人追い払って安心しているといつの間にか隣に座り込んで頭を僕の肩にのせてきたやつがいて──。
もたれかかってきた野郎の顔を覗き込んで、僕は思わず息を呑んでしまいました。
アップにしたサラサラヘア、色白で細面の顔に小鹿のように黒くて大きくて濡れ濡れの瞳が煌めいています。
かっ、カワイイ……。
僕はLBと相対したときに、ルーティーンになってしまっている〝あること〟があります。それは、「もし、こいつが男のままだったら」とシミュレーションすることです。
血の滲むような努力をしてキレイになっているLBからしてみれば、失礼極まりない行為ではありますが、クセになってしまっているんです。
そのコ……名前をきくとジャスミンと名乗りました──の「男の顔」もシミュレーションしてみたのですが、どうもうまく浮かびません。
パッと見キレイなLBでも、近くでよくよく見るとアラが見えることは多々あるのですが、このジャスミンはどこからどう見ても女。この店にいなければ何も疑うことなくペイバーしているでしょう。
僕が固まっていると、ジャスミンは手振りで「ここに座ってもいいか」的なことを尋ねているようでした。何も言えず手だけでどうぞ、と返すとニッコリ微笑んで近くにいたスタッフにドリンクを注文しています。
初対面のゴゴ嬢と交わす定型文のとりとめのない会話をしつつ、あらためて彼女の身体を舐めるようにチェックします。
もちろんおっぱいは人工物ですが、小柄ながらメリハリのきいたナイスバディ。ウェストのくびれも見事です。何よりスゴイのがすべすべの白い肌。タイ人でこんなに肌理の細かい肌は初めて見ました。
「のお~~~」僕の視線がイヤラシ過ぎたのか、頬を染めてかぶりを振るジャスミン。
思わず酒がすすんでしまいました。
亀ちゃんはと隣を見ると、最初の巨漢嬢とすでにヘビーペッティング状態でした。
巨漢嬢の股間を亀ちゃんの手がイヤらしく撫でまわしています。めちゃめちゃうっとりとした表情の亀ちゃん──。
イヤーっ、そんな亀ちゃん見たくない。
……心では叫びつつもガン見していると、ジャスミンが怪訝そうに下から僕の顔を覗き込んできます。
すると、ジャスミンは俯いて「マイ・ミー……」と呟くと僕の手を自身の股間へ持って行きます。
たしかにつるんつるんな感触だ。LBは未改造でもホルモン注射で小さくなっているのでもっこりしないように後ろに回して隠す、なんて話を聞いたことがありますが、そういうのではないようです。
夢中になっている亀ちゃんを置いて、僕はジャスミンをペイバーすることにしました。ホテルの部屋で交代でシャワーを浴びてベッドへ。
ジャスミンは毛布をかぶって隠れる素振り。僕が毛布をはぎ取ろうとするとキャッキャとはしゃいでいます。こちらもノリノリで強引に毛布をはぎ取った瞬間、僕は固まってしまいました。
目に入ってきたのは彼女の改造済みのアソコ。細かい構造はわかりませんが、それを目にした瞬間僕がイメージしたものは「穴」。
いや、確かに穴ではあるんでしょうが、何かあるべきものが欠けてぽっかりと穴があいているような空虚さをそこに感じてしまったのです。
ショックで、そのあと何をどうしたのかよく覚えていません。
でも、ひととおりやることはやって、ジャスミンは帰っていったようです。
何か、ものすごく彼女に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
自己嫌悪やら敗北感やらで一晩うなされました。
まだまだ修業が足りませんねえ。いつかリベンジ……できるかな?