翌日の夜。 準備は万端です。
デジカメ1台とパソコン、TC、クレジットカードは部屋に置いて行くことにしました。
パンツもおろしたてのブーメランを履きました。ブーメランパンツを履くといやおうなしに気分が上がりますよね。
これで万が一さらわれちゃってもオッケーです(何が?www)。
いそいそとCホテル地下の『ハードロック・カフェ』へ。
ホンとその仲間たちは昨夜と同じようにフロアの片隅にたむろしていました。
昨夜と同じように店内はガラガラです。大丈夫なのかな、この店。
カウンターに腰掛けてビールを注文するとホンが近寄ってきました。
「一緒に飲まない?」
「はい」
ホンもビールを注文すると、僕の隣のスツールに腰掛けます。
脚を組むと昨夜と同じ黒いタイトミニからむっちりとした太腿があらわになります。
「今夜は一緒にいられるの?」
「うん、今夜は大丈夫だよ」
「あなたのホテルに行ってもいい?」
「いや、僕のホテルはまずいんだよね」
「オーケー、ちょっと待ってて」
ホンは立ち上がると、再びフロアを横切って反対側でたむろしている仲間のところへ歩いて行って何やら相談しています。そして、仲間の一人から何かを受け取ると、またすぐに僕の隣に戻ってきました。
「じゃあ、行きましょうか」と僕の袖を引っ張って立つように催促します。
「行くって……どこへ?」
「私の部屋よ」ホンはそう言ってにやっとワケありな笑みを浮かべます。
Cホテルからタクシーに乗り、10分ほど走った場所に彼女の言う〝部屋〟はありました。めっちゃ高いタワーマンションです。その23階です。
2LDKのペントハウスで窓には広州の夜景がどーんと広がっています。
しかし、造りが立派なわりにインテリアはわりとフツーで、まるで都営住宅に住む友達の家を訪ねてきたかのような親近感ある家具、家電のラインナップでした。
あまり物がなく生活感が希薄なところをみると、『組織』がそれ用に用意した部屋だったりするのかも知れません。
「シャワー浴びて来て」
バスルームの脱衣所にはパチもののドラえもんのイラストが入ったバスタオルがかけられていました。あと、女物の下着や洋服が干してありました。
なぜかここは生活感満載です。
僕が出ると、続いてホンがシャワーを浴びにバスルームに入ります。
秒でシャワーから出て来た彼女は僕の手を取ると寝室へ引っ張っていきます。
ベッドに寝かされ、形ばかりあれやこれやしたあとにホンがすぐに上に跨ってきました。そして、ちゃっちゃと1本抜くと彼女は再びバーに戻るためそそくさと着替えてしまいます。うーん、つまらん。
彼女の身体は思ったよりも全然Hじゃなく、何となくたるんで、どこかくたびれていました。僕が何となくなすがままになっていたのは、彼女の身体を見て、あっという間にやる気が萎んでしまったからです。
「じゃあ、これ」
僕が700元を渡すとホンはそこから100元札を2、3枚別に分けて別のところにしまっています。
「それ、どうするの?」と聞くと、「バーのママに渡すの」とのこと。
二人で部屋をあとにして、マンションの前で別れました。
たどりつくまでにいろいろと大変な思いをしたわりには、肩透かしな印象で終わった広州の夜でした。
もっといいところもあるんでしょうけどね、きっと。
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