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よるのたび トラブゾンナイト(9)結局選んだのは…


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こんな感じのシャワールームがなぜか部屋の隅にありました。

 

 

つい今しがたまで好き勝手に騒いでいた女たちがいきなり静かになりました。

(いったいどうしたんだろう? )

先日のディスコのときのように警察が来たのかと一瞬思いましたが、どうやら違うみたいです。

人だかりの後方に立っていたのは、さえない感じの中年男。ハゲで小太りです。色が白くて髭面なのでトルコ人でしょうか?……完全に雰囲気だけで言ってますけどw

男はつかつかと僕たちのほうに歩いてきて、ウズベク静香の肩をグイっとつかみます。

「✖✖✖✖✖✖✖✖!!!

何語かわからない言葉で静香を怒鳴りつけたかと思うと、彼女の肩を抱いて強引に連れて行こうとします。

✖〇▼◎◇〇✖◇◇!!

静香も男に向かって何やら怒鳴って抵抗していましたが、力づくで連れていかれてしまいました。酔いどれマネージャーと周囲の女たちは黙って見ているだけで、誰も止めようとする気配がありません。さっきまであんなに大騒ぎしていたくせに。

そして指名したコを目の前で連れ去られていってしまった僕の立場は?

 

茫然としている僕の肩を酔いどれマネージャーがポンポンと叩きます。

「彼は彼女の恋人なんだ」

それにしては彼女、嫌がっていたみたいですけど。

「彼はとても偉い」

どうしようもないんだ、という感じで肩をすくめると彼は去って行きました。

気の弱そうな酔いどれマネージャーはともかく、あれだけうるさかった女たちが何も言えないのですから、ヤクザなのか警察関係なのか知りませんが、この界隈ではちょっとした顔なのでしょう。

なんとも言えない雰囲気の中、マネージャーと女たちは散り散りにどこかへと消えて行ってしまいました。一人残された僕は、何ともやるせない気持ちで部屋に戻ってドアを閉めす。

 

部屋に戻ると、またズッコケそうになりました。

僕のベッドに女がちょこん、と腰掛けていたのです。昨日と同じパターンw

おそらくドアが開けっ放しだったので、僕が例の男に気をとられていた隙にもぐりこんだのでしょう。女はバナナマン日村2号の金髪娘でした。

僕の顔を見ると上に向けた掌を握った拳でパンパンと叩く例のジェスチャーを盛んに繰り返します。

そしてやおら人差し指で自分を指さしています。

う~ん、なになに……。

(私は?)

……そして次に僕を指さすのです。 

(あなたと?)

掌を拳でパンパンと叩く。

(SEXする)……いや、しないってば。

すると、今度は両手を胸の前で組んで祈るようなジェスチャー。

(お願いします?……か)

 

バナナマン2号はチビでややぽっちゃりですが、よくみると彫りも深くて整った可愛い顔をしています。

今までにここで見た女たちの中では、ウズベク静香に次ぐ美形と言っても過言ではないでしょう。一般的な基準に照らし合わせると微妙なところですが、静香がいないとなると彼女ぐらいしか指名できるコはいません。

(しょうがないなあ……)

僕は彼女に向ってOKサインを出すと、パッと咲いたような笑顔。やっぱりなかなか可愛いです。

 

部屋の一角を無理やり仕切ってつくられたシャワールームでシャワーを浴びて出て来ると、バナナマン2号はすでにすっぽんぽんになってベッドに入っていました。

どうやらシャワーを浴びる気はないようです。そういう習慣なのでしょうか。

僕もベッドの中へ、彼女の隣に滑り込みます。

布団の熱で暖められたせいか、彼女の匂いがふわっと鼻腔をくすぐります。何か懐かしい感じの匂いです。寒い季節に誰かと布団にもぐりこんだときの匂い。

 

「どこから来たの?」

「ジョージア」

当時は日本ではまだグルジアと呼ばれていました。トルコの東隣の国です。

ベッドの中での彼女はさっき売り込みに来たとは別人のように可愛くなっていました。

最初に時間を決めていませんでしたが、彼女は2時間ほど僕の部屋にいました。

1時間ぶんの50ミリオン(当時のレートで¥3000ちょっと)を別れ際に渡すと、彼女はにっこり笑って受け取り、部屋を出て行きました。

 

透き通るように白い肌が印象的でした。バムのベルギー娘とはまた全然違った白い肌でした。

 

 

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