(先日の手術後の様子です)
目が覚めると真っ白な部屋でベッドに寝かされていました。
最後の記憶も真っ白な部屋だけど寝ていたのは手術台でした。
身体のあちこちにコードやらチューブやらを取り付けられて麻酔科医の合図の声を聞いているうちに意識が飛びました。
僕の中では次の瞬間、もう、ここです。
それはもうものの見事に間がすっぽり抜けています。
身体は動かせないです。たぶん動かないわけではないのですが、動かすとどこに激痛が走るのかわからなくてコワイので動かせないのです。
「ゴーゴーさん、気がつきました?手術は無事に終わりましたよ~」
ベッドの横で点滴などをセットしていた看護師さんが目を覚ました僕に気づいて声をかけました。ひと昔前にテレビ朝日にいた前田アナに似た感じのショートカットで運動神経良さそうな美人です。
手術の後、麻酔が残って意識が混濁したりして、譫妄という状態になることがあります。多くの場合は認知に難がある老人がなりやすいのですが、人生でお酒を多量に飲んで脳神経をやられている人もなりやすいそうです。
以前、僕は見事な譫妄状態に陥ったことがあります。なぜか南の島で自分が悪の組織に監禁されていると思い込み、暴れて拘束されてしまいました。
あのときは病院もなんか感じ悪いところだったんですよね。今回は変な妄想に取りつかれずに済みそうです。違う妄想に取りつかれるかも知れないけどw
「じゃあ、術衣から着替えましょうか。右足は動かせないから左足を軸にしてお尻を上げてくださ~い」
前田アナ似の看護師さんはてきぱきと僕に体位移動を指示して、みるみるうちに術衣を脱がせて浴衣を着せてしまいました。途中、激痛が走りましたが、まったくおかまいなしなので痛みを感じる暇もありません。
その後、酸素マスクをかぶせられ、放置。
マスクの中には轟々と風が吹いているので口のなかがカラカラです。
今、何時なんだろう?
相変わらず身体は動かせない状態です。寝返りを打とうとして死ぬかと思うような激痛が走りました。
時間の感覚がまったくわからないのがまた苦痛です。
向こうのほうから朝の光みたいな爽やかな光が見えたんだけど……さすがにまだ朝じゃないよなあ。モニターの中に時間らしい数字があるので必死に解読を試みます。
20:00? え~、まだ夕方じゃん。今から朝までずっとこんな感じなの?
絶望──。
とにかく口の中がありえないぐらい乾燥してる。こんなの自分の口じゃない。
ナースコールで前田アナを呼びます。
「ごめんなさいね。お水のんじゃいけないんですよ~」実にすまなそうに前田アナは言うのです。
仕方がないのでストローつきのコップから水を含ませてもらい、吐き出します。
しかし、30分とたたないうちに口はカラカラになります。
何かでも、前田アナがつきっきりで少し嬉しかったりしてw
それにしても時間が経つのが遅すぎる……。
結局、のどの渇きとの闘いで朝までほとんど眠れませんでした。
さすがに朝の4時、5時ぐらいになると僕にかまってられなくなったのか、前田アナもどこかへ姿を消してしまいました。
もう誰も見ていなかったので酸素マスクはずらしていました。
朝8時ごろになると再び前田アナがやってきて身体を拭いてくれました。
メンエス通いのために処理してあるVIOもきれいに拭かれてしまいました。
それ、セラピさんは触らないとこなんだけどwww
「持って来た下着に替えます? それともオムツにしましょうか?」
現在僕の下半身は尿道カテーテルと傷口からのチューブが出てややこしいことになっており、パンツをはくのは至難の業でしょう。
そうして前田アナにオムツを履かされてお迎えに来た病棟の看護師さんに引き渡され、僕はICUを出ることができたのでした。
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