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よるのたび コルカタナイト(7)ショッピングの顛末


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昨年ユニクロがインド人デザイナーとコラボして発売したクルタ。
これにパジャマというズボンを組み合わせると男性の標準的な服装に。

 

 

 

〝先生〟が中にいたトルネコ風の店主に何事かを告げると店主は僕たちを店内へと招き入れました。店内には店主以外誰もいないようです。

店の中に通された〝先生〟は突き当りの場所の床にどかっと座ります。僕や残りのみんなもそれに倣って店の床に車座になって座りました。

 

しばらくすると店主が布製のブツを店の奥から持ってきました。

〝先生〟のところへ行ってブツを見せると〝先生〟はアゴで僕の方を指します。

店主は僕に手に持っていた服らしきものを手渡しました。

「私たちからあなたへの友情の証です。着てください」

広げて着てみると、クルタというのかパジャマというのか、よく知りませんが、〝先生〟が着ているようなインドの民族衣装です。襟がなくて丈がやたらと長い上着と柔道着の下のようなゆったりしたパンツ。

言われるがまま僕は着てみました。サイズはぴったり。ゆったりした着心地でくつろげそうです。日本だと外を着て歩くのはナニですが、部屋着には良さそう。

取り巻き連中が「似合う」とか「ハンサムマン」などと口々に褒めたたえます。

 

しかし、この布、めっちゃ薄っぺらくてチープです。アジア土産のシャツを洗濯したら溶けてしまった、なんて話を聞きますが、まさに水に溶けてしまいそうなシロモノ。

高く見積もって……¥500ぐらいじゃないでしょうか。日本で買ったとして。

 

プレゼントをもらったら、次は僕が買い物をするターンのようです。

店主が次々に謎の動物や幾何学模様の描かれたタペストリーや、シルクだというショールを持って来ては見せます。

タペストリーはよくあるシヴァ神やガネーシャなど神様柄のエグイ奴ならよかったのですが、そのへんの美大生に描かせたような中途半端にアーティスティックなデザインで、全然欲しくありません。

シルクだというショールはなかなか良さげだったので、1点購入しました。

お値段は日本円に換算して数千円。ビミョーです。偽物なのかな。

それにしても、フツーにお土産を商売されているだけです。ウン十万円の宝石の原石といったような香ばしい一品はなかなか現れません……と思ったら来たよ。

 

〝先生〟が店主へ目配せすると、トルネコ店主はタバコの箱ほどの紙製の小箱を持ってきました。

「これはあなたのためにぜひ私がレコメンドするものです」

トルネコに渡された箱を開けてみると銀紙に包まれた棒状のチョコレートのようなものが数本、入っていました。ハイ、大麻樹脂です。

「いくら?」

〝先生〟が何かトルネコに言い、トルネコが答えます。

「××ルピーだと言っている」

え、何かこれまでに馴染みのない桁の数字が出て来たぞ。僕は頭の中で一生懸命円に換算します。すると。

約10万円という数字が出ました。計算違いかと思い何度も計算しましたが、間違いないようです。

(嘘だろ。こんなの代々木公園でイラン人から買ったら1本1万円もしないはず)

ドラッグなんか買わないので正しい値段はわかりませんが、これはあきらかにぼったくり価格でしょう。

「高い。そんなお金はない」

「これはグッドクオリティ。とても高い物です」

「それに僕はドラッグはやらない(嘘)」

「インドではそれはポピュラーです。日本人はみんなインドへやりに来る」

 

〝先生〟もここが勝負所なのでしょう。まったく引く様子はありません。

周りの連中は黙って僕たちのやりとりを眺めています。

「話にならない。僕はホテルへ帰ります」

立ち上がって店を出ようとすると、バカボンとハンプティが立ちふさがり、まあまあ落ち着いて熱くならないでとなだめるていで僕を引きとめるのです。

 

買う、買わないの押し問答が何十分間続いたでしょうか。業を煮やした感じの先生が小箱を手に取ってこう言いました。

「オーケー。ならば特別に半分の値段にしよう。あなただけ」

やっぱりお前が売ってるやん、と思いつつ僕は答えます。

「私はそれを欲しいと思わない。だから半額でも買わない」

それからまた買う、買わないの押し問答。結局、どれだけ粘ってもここから出してもらえそうにないので、日本円で約3万円で手を打ちました。これでも高いんだろうなあ。

 

「サンキュー。あなたならわかってくれると信じていた」

そんなふうに言うところを見るとやはり商売にはなっているものと見えます。

あれだけ何も買わないと誓ったのになあ。ダメだなあ。

敗北感いっぱいでとてもブルーになってしまった僕でした。

また、インドが嫌いになった気がします。

(続く)

 

 

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