二度にわたる女たちの襲撃に耐えました。
しかし、決して迷惑なわけではなく、この状況を少し楽しんでいる自分がいます。
(もうちょっとマシなのがいればなあ……。でも、全員の顔を知っているわけじゃないから、もしかしたら美人もいるのかも知れない)
さっき唱えた「売り込みに来るやつ売れ残り説」を忘れていますw
すると再び、いや三たび……。
ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!
またまた親のカタキみたいにドアが叩かれます。
普通にノックするって出来ないのか、こいつらは。
ドアを開けると、今度は酔っ払いマネージャーを中心に先ほどの三人組、 さらにウズベク静香と昨日の夜のでかいおばさんもいる。
マネージャーはなぜかおどおどしております。
酔っ払いマネージャー、今日は酔っ払ってないらしい。
「女は欲しくないか?」
ソバージュおばさんにせっつかれて、おずおずと切り出すマネージャー。
どうやら通訳としてかり出されて来たようです。
(言葉が通じないから売れないと思っているのかな、この人たち)
だとすれば大間違いですが。
「いくら?」
いちおう聞くだけ聞いてみます。
「20ミリオンで一発、30ミリオンで30分、50ミリオンで1時間」
ええと。1.5ミリオンが1USドルだから……。
でも、30ミリオンで30分ってのは結構微妙だよね。 どう考えても2回は無理だし。
サービスがちょっと濃厚ってことかな? 1時間で2回ってのもけっこうキツいゾ。でも、ショート&ロングで言えばみんなショートってことなんだろうなあ。
そして冷静に考えるとこの面子でこの値段は、タイよりもだいぶコスパがよろしくないです。そう考えると買うのは馬鹿らしいけれども。
「どの女にする?」
よりどりみどりだぜ、ってな感じで酔いどれマネージャーは女達を一人一人指さしてみせます。いや、全然よりどりじゃあないんだけど。
しかし、そこまで言われると引き下がるわけにはいきません。
20ミリオンって、宿代より高いけど、それはどこでもそうだ。『娼婦の値段の相場は、その国のスーツの値段に等しい』 これは『深夜特急』の中にあった言葉だったか。
そういえば、昼間、洋服屋で買った皮ジャケットは22ミリオンだったなあ。
「そのコがいい」
僕が指さしたのはもちろん静香です。
えっ、私?でも昨日断ったじゃん、てな感じで、安っぽいGジャンにワカメちゃんカットの 静香の表情に最初は驚き、そして嬉しさが滲んでいきます。
すっかりニコニコの静香。
なんか、いいなあ。 もしかして、いま心が通っちゃった?。
僕的にもちょっと嬉しい。 衆人環視の中、告白した気分ですから。まあ、告白っちゃあ告白なんですが。
ちっ。やっぱりウズベクかよ、わざわざマネージャーまで連れてきたのに。 みたいな空気でみんなが散会しかけたその時。
「×××××!」 誰かが小さく叫びました。
同時に全員の顔に緊張が走ったのです。
(続く)
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