ヤムが「一緒に飲みに行こう」というので8時過ぎからR3にいるのにいっこうに来る気配がありません。やつはわざわざ仕事は休みをとっているはずなのに。
いっそのこと人気ゴゴ嬢のセクシーちゃんと遊びに行っちゃおうかな。
彼女はこのR3の層のぺらっぺらに薄いゴゴ嬢陣で唯一「ペイバーしてもいいかな」と思えるコでした。でも、必ずいつも誰かにペイバーされていなくなってしまうので、チャンスがなかったのです。
(もしかしたら今日がチャンスかも)
時計はすでに10時を回っています。まあ2時間近く待っていたんだからヤムにも言い訳は立つはず。彼女は今ダンスの順番でステージに上がっています。
(よーし、戻ってきたらペイバーしちゃおうかな♪)
いろいろと今後の段取りを妄想して股間を硬くしていると、ステージの向こうのほうでセクシーちゃんがお客に呼ばれたのかステージから降りている姿が視界に入りました。
(あれ?呼ばれちゃったな…)
そう思って見ているとみるみるうちにペイバーされて私服姿になったセクシーちゃんはハゲのファランのおっさんと腕を組んで店を出て行ってしまったのでした。
(………。)
すっかりその気でいたので少し落ち込んでいると、
「ヤムはまだこないのかい?」
と、ビッグ・ファット・ママがやってきてどすんと僕のとなりに座りました。
「しょうがないねえ。どっかで遊びほうけているのかねえ」
ママは僕の手を取ってマッサージを始めます。ぶっとい指でぐりぐりやるのでめっちゃ気持ちいいです。でも、ゴーゴーって間があると何かとマッサージされがちですよね。
しかもたいていみんなけっこう上手い。ゴゴ嬢はそうでもないけど。
お返しにこんどは僕がママにマッサージをしてあげます。
しかしビッグ・ファット・ママだけあって座るとでかいこと。
立っているとそうでもないんですけどね。
肩なんかをつかむことはいちおう出来ますが、かなり力をこめないと圧が伝わりそうにない感じです。背中のツボも普通の人相手なら親指で十分なんですが、ママはエルボーで渾身の力を出さないと効かなさそうです。
それでも顔を真っ赤にしながら全力でやっていると、いちおう気持ち良さそうにはしているので、続けざるをえません。
5分もやっているうちに汗だくになってしまいました。
まあ、おかげでまた旨いビールが飲めたわけですが、何やってるんだろう、オレ。
その後、ゴイちゃんが来たので2本ほど一緒に飲んで。
時計を見るとすでに12時近くになっています。ステージ上のダンサーも5人しかいません。あーあ、なんか酔っ払ってきちゃったなあ……。
そのとき、この数時間、ずっと仕切りの向こうで静かに仕事をしていたミスレジスターが立ち上がりました。手招きして僕を呼ぶと、自分の携帯を渡します。
電話に出ろ、と言っているようです。
ミスレジスターのピンク色のフリップ式携帯に出ると、
「ゴーゴーぉ~~!」と受話器の向こうからヤムの叫び声がしました。
「ゴーゴー、✖◎▽◇★○✖✖✖!」
何を言っているのかさっぱりわかりませんが、ずいぶん騒がしいところからかけてきているようです。叫ばないとこっちに伝わる気がしないのでしょう。
(それにしても機嫌いいな……)さてはすっかり出来上がってるな?
僕を待つ間、どこかに飲みにいったらすっかり楽しくなっちゃって、そこで盛り上がってしまったのでしょうか。
「ユー、レインボー?」僕はレインボーじゃないけどレインボーにはいるよ。
「OK!アイ、ゴー!」ん、これから来るって言ってる?
僕は電話を切ってミスレジスターに渡し、お会計を頼みました。
冗談じゃない、今からやつと飲んだら絶対死んじゃいます。
ミスレジスターがひらひらと僕に見せたお会計は4千バーツでした。
うおおーっと周りにいたスタッフたちがどよめきます。偉業達成、って感じで。
まあ、けっこう飲んだもんなあ。たぶん僕だけでハイネケン10数本いってるはず。
まあ、長居したんで仕方ないです。
とにかくヤムが来る前にさっさと退散しました。
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