8月恒例のゴイの誕生パーティ。ようやく主役もやってきてパーティが始まりました。
…とはいっても店の入り口から手前の部分はフツーに営業していて、奥のほうのカウンターの前あたりだけファランが盛り上がってます。
ハゲでヒゲでデブのファランがゴイの彼氏らしい……去年見た人と違うかも。
その現在の彼氏とその仲間中心に盛り上がっている感じです。
僕が陣取っている席はカウンターの端っこにあるキャッシャーのさらに横なので、盛り上がっている場所からはポツンと離れております。
まあ、いいんです。僕はナンへのセクハラに専念したいので。
しかし、そこへミスレジスターがやってきました。隣に小柄な子犬のようなウェイターを連れています。短髪で髪をツンツン立たせ、やんちゃな風ですが妙に肌がきれいです。色も白いし。
「このコ新人なの。ヤムと同じよ」
ああ、やっぱりトムなんだ。〝ヤムの跡継ぎ〟を紹介されるのは実は3人目です。
でも、なんでこの店は代々トムが1人いるんだろう? みんなすぐに辞めるし。
でも、なぜミスレジスターは毎回必ず僕にそのトムを紹介するんだろう。
これまで唯一ペイバーしてホテルに連れて行ったのが(昨夜はナンに送られてホテルに帰ったみたいだけど)ヤムだから、そういうのが好きだと思われているのかなあ。
ヤムと一緒にホテルに帰ってときも二人とも潰れて寝ていただけで全然そういう関係ではありません。僕の中で彼は完全に男です。
でも、思えばヤムと知り合って初めてバカ飲みしたのは2年前のゴイちゃんのバースデーだったっけ。
あのときはかなりの数の従業員が泥酔していてめちゃめちゃ楽しくて、それでこの店によく来るようになったのでした。
今日もフロアの片隅には従業員専用のドリンクコーナーが設けてあって、ウイスキー、ジュース、LEOビールの大びん、氷などが並んでいます。
嵐の予感がします。
↓2年前のゴイちゃんのバースデーの話はこちら
とりあえず3代目トムくんと乾杯。
しかし今日はゴイもファランの彼氏にかかり切りだし、ノイも姿が見えないし、ヤムももういないので平和に終わりそうです。
再びナンにセクハラし始めたとき、誰かが僕を呼びました。
「ゴーゴー、じゃんけんだよ!」
見るとおばさんが腰に手をあてて仁王立ちしていました。…しまった。最近一番面倒臭いのをわすれてた…。
じゃんけんの始まりは狂宴のはじまり。いつものごとく僕はみるみるうちの酔っ払っていきました。周囲の連中もやっぱり今日はテンションが高いようで、ガンガン飲んであっという間に乱れ始めます。
ナンは寝始めるし、おばさんは若いゴゴ嬢にセクハラしながら飲ませようとしています。さっきは子犬みたいだった3代目トムはさかりのついた犬になってミスレジスターに襲い掛かって耳をベロベロ舐めていました。
さらには姿が見えなかったはずのノイがウイスキーのボトルを持ってきて僕の伝票立てに伝票を突っ込もうとしていたので、ひっぱたいて伝票を放り投げてやりました。
ノイはなかなか油断なりません。
僕が飲んでいたビールもハイネケンの小びんがいつのまにかLEOの大びんになっていました。しかもコップに注ぐのではなくて直です。
それでも気を張っていたのか、最後まで何とか意識を保っていられたようです。
店内がパッと明るくなり、ゴゴ嬢はロッカールームへ消えて行きました。従業員たちが店じまいを始めます。
退場した従業員が何人か。まだ酔って騒いでいるやつ何人か。客も何人か含まれています。正気を保っているお客はすでにもう帰ってしまっています。
僕は何とかこの修羅場を生き残ったことと、オープンラスト達成の勝利感に酔いしれていました。もちろん酒にもかなり酔いしれています。
さて、今夜こそはナンと一緒に帰れるのでしょうか。
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