今回のブックレビューは坂爪真吾氏の『パパ活の社会学』です。
サブタイトルは「援助交際、愛人契約と何が違う?」となっています。
パパ活関係の本としては以前に中村淳彦氏の『パパ活女子』を取りあげていますが、同書が21年の刊であるのに対してこの本は17年の刊です。いわば先行的な位置づけにあたります。
↓『パパ活女子』のレビューはこちら
〝パパ活〟というワードが世間で広く認知されるようになったのは、17年ごろからのことで、本書は初めて〝パパ活〟というテーマにふれた本だと文中にも書いてあります。
そういった本書の位置づけもあってか、内容は現時点でみると少々古いようにも感じます。裾野が広がり過ぎてかなり混とんとしている〝パパ活〟の今に触れているという点では『パパ活女子』のほうがリアルです。
しかし、5年前の時点で書かれたものだからこそ知ることのできる「パパ活」の原点、とでもいうべきものを本書では知ることができます。
本書は6人のPJと2人のPへの取材をもとに構成されています。
これらの人々はすべて交際クラブとの関わりがあり、「パパ活」が行われている舞台もほとんどが交際クラブです。
おそらく交際クラブから紹介されたであろう人たちなので「パパ活」に対してポジティブな体験談が続きますが、だからといって交際クラブは素晴らしい、というお話ではないのはもちろんのことです。
PJのお話は年齢順に構成されていますが、そのプロフィールも売れないタレントだったりモデルだったり外資系勤務やコンサルだったりします。現状の「パパ活」だとかなしハイクラスのカテゴリに入るであろう人たちが登場人物です。
Pのほうもしかりなので1回のデートで5万とか大人10万とかいう話がスタンダードです。顔合わせ1万円問題で揺れる現在のP活シーンは何なのだろうと思えてきてしまいます。
いつものレビューなら個々のケースを取り上げてああだこうだ言うところなんですけど、今回はそこまで細かく触れません。まあ、ざっくり雑にまとめると上記のような感じです。
筆者は本書に出てくるような交際クラブの世界について「自由恋愛最果ての地」と表現しています。
「男性にとってはパートナーとのセックスレスの苦しさを埋める手段にもなれば、疑似恋愛を楽しむ手段にもなりうる」、そして女性にとっては「経済的に不安定な生活から抜け出す手段にもなれば、家庭生活で満たされない何かを充足するための手段にもなりうる」とのこと。
そのように、そこで築く人間関係をいかようにも自分の好きなようにデザインできる可能性があるのに、結局多くの人はその圧倒的な自由さに耐えられないのだと本書は指摘しています。
そしてその結果、「自己承認欲求のため」「お金のため」「セックスのため」というわかりやすい動機に乗っかって行動してしまうのだそうです。
本書を読んで「パパ活」の原点をあらためて見たように感じました。
同時に現実に僕がふれているP活の世界は、デート1万、大人3万という本書からするとかなりスケールダウンしたものですが、そこで出会った人との関係を築いていくのは自分次第だということも認識した次第です。
実は最近僕はP活ってもっと経済的に余裕がある人がやるものなのではないかという思いがありまして、少々袋小路に入っていました。
本書に出てくるPやPJを見ているとまさにその思いが強くなるところなのですが、関係性を築いていくのは自分次第だと考えると、お金は入口であって相場とかはあまり関係ないのです。まあ、お金、出せるほうが全然間口は広がりますけど。
そんなわけで、1年ぶりにまた顔合わせ、やろうかなw
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