ステージのトップでノリノリで踊っている小柄なゴゴ嬢。
見覚えのある顔ではあるんですが、誰なのか思い出せません。
ここのところこのR3ではおばさんに巻き込まれてじゃんけんゲームばかりやっているので、それに参加したゴゴ嬢は何人か顔も覚えています。
中には隣に座らせてセクハラをかましたコも何人もいます。でも、ちゃんと話したことのあるコはほとんどいないし、その面子にもいなかったような。どこか別の店で会ったんだっけかなあ?R1とか。いや、ヤムの友達のゴゴ嬢ではないし……。
そのときステージ上の彼女と目が合ってしまいました。
彼女は僕ににっこりと微笑みかけます……でも、やっぱり誰だかわからん。
ダンサー交代の時間になり、ステージから降りた彼女はやっぱりニコニコしながら僕の席へやってきました。
「ハロー」
「……はろー」
「ホワット ユー ネーム?」
あれっ、もしかして初対面? 僕の返事を待つことなく彼女はずいっと僕のとなりに陣取ります。さっきまでノイやゴイたちとじゃんけんゲームをしていたのですが、おばさんがいないせいもあってあまり盛り上がらなかったので、すでに飽きてどこかへ行ってしまっていました。
僕が名前を名乗ると「ナイス トゥー ミーチュー」と彼女は自分のこぶしを僕のハイネケンの小瓶にコツンと合わせます。そして、ハッと我に返った様子でなんだあ~私ドリンクなかったわ~、というジェスチャーでドリンクを奢らせるお約束のゴゴ嬢ギャグです。
仕方がないのでウェイトレスをつかまえて彼女のドリンクをオーダーしました。
何か面倒くさそうなのに捕まっちゃったなあ。
日本人と見ればとりあえず片っ端から声をかけて、断らない短期旅行者だけを捕獲してはちょんの間で稼ぐタイプの典型です。
ベッドではまぐろのくせに早くイケ、もっと腰振れと巻き巻きのセックスを強要するのもこのタイプだったりします。うーん、どうやって追い払おうか?
そこで彼女の横顔を見て、ふっと気づいたのです。
こいつ…ロリ子じゃん!
そう、前々回の訪タイのときに上京してウェイトレスになったばかりでビッグファットママの陰に隠れておどおどしていた、あのロリ子です。
↓ロリ子との出会いについてはこちら
当時は黒髪で地味なセミロングだったのに、現在ではド金髪のショートボブになっています。化粧もばっちりです。入ったときはもちろんほぼノーメイクでした。
前回ソンクランのときに会ったときには少し垢ぬけた感じにはなっていましたが、こんなにばっちり化粧はしていませんでした。前回よりもさらに〝夜感〟がアップしています。髪の色も髪型も変わっていたので分からなかったのです。
また、今の恰好はもちろん黒いビキニにロングブーツというR3のゴゴ嬢のステージ衣装です。これまでは白い開襟シャツにスカートというウェイトレス姿でした。
彼女が肌をあらわにした姿を見るのは初めてです。だけど……お世辞にもそそるプロポーションではないなあ。
スレンダーという言葉で片付けてしまうのが心苦しいほどに痩せてしまっています。
もちろん胸も小さいしお尻も少し骨ばっている感じがします。ホテルに連れて行くのが申し訳ないレベル。いわゆるロリ好きの人って、こういうのがいいんだろうか。
「ホテル、行く?」
僕がボーッとして何も話さないので業を煮やしたのか、直球で切り出す元ロリ子。
たぶん面倒くさくなってダメ元で言っています。
断ると元ロリ子はガッとグラスを空無言でどこかへ行ってしまいました。
僕のことなぞすでに覚えていないようでした。
「彼女、ウェイトレスで毎晩ペイバーされた」
ノイおばさんに元ロリ子について聞くと教えてくれました。
「たくさんたくさんペイバー。だからみんなダンサーになれ、言った。でも、ダンサーになったらあまりペイバーない」
そうか、確かに入ったばかりのころの彼女はあどけなさがあってかなり可愛かったし、ウェイトレスのユニフォームだからこそ、そのおぼこい感じが良かったんですよね。
いざ、バリバリに化粧してゴゴ嬢になってしまったら、あんまり魅力はなくなってしまったのかも知れません。
また、あの雑な営業ぶりを見るに、もしかすると悪い大人たちに囲まれて毎日過ごしているうちに、彼女も変わってしまったのかも知れません。
ちなみにこの次タイに来たときには元ロリ子はR3にはもういませんでした。
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