「他のゴーゴーに行かない?」
R3で約1年ぶりの再会。いつものじゃんけんゲームにも飽きた頃(僕は最初から飽きていますが)、いきなりヤムが言い出しました。
上目遣いで僕のほうを見てにやにやと下手な愛想笑いをしています。よっぽどR3以外のゴーゴーバーに遊びに行きたいのでしょう。おそらく僕と一緒のときぐらいしか、なかなかチャンスもないでしょうし。
いや、僕も今日はここがナナで1軒目だし、そりゃあ他のゴーゴーへ行くのは全然かまわないけどさ、ヤム、彼女連れでしょ?
それをどう彼に伝えたものか考えている間にヤムは隣のテーブルでミスレジスターと話し込んでいたミンに何か話しています。
「ミンもいいって言ってる」
どうやらお許しが出たみたいです。でも、本当にいいのか?
とりあえず店を出てR1へ。
ここは僕も知っているヤムと仲の良いゴゴ嬢がいます。
以前にも一度ヤムと一緒に来ているので、彼女は僕とヤムが仲が良いことを知っており、僕がR1へ行くたびに「ヤムは?」と聞いてくるのです。
「キャーッ! ヤムーッ!」当然彼女は大喜びです。飛んできてヤムに抱きついて離れようとしません。
僕はひっついたままの2人が座った隣のテーブルに1人で座りました。すると近づいて来る不気味な影が……。
「あーら^^ ゴーゴー久しぶりじゃない」
そこにいたのは宿敵・因業ウェイトレスのゴップでした。
彼女は何かにつけチップを要求してきて「そんなもの払うか!」「なんだとこのケチ!」と、いつもケンカ別れしているのに、次に会う時にはそんなことはなかったかのようにしれっと近づいて来るのです。
絶対に帰り際には不愉快な思いをするので僕は彼女を避けているのですが、彼女がいるときにはけっこうな確率で捕まります。
「ビールおごってよ」
おごったら「一緒に飲んだでしょ」とチップを請求されるに決まっているのですが、習性でおごってしまう僕です。
隣では仲良しゴゴ嬢の肩を抱いてなんだかいい感じになっているヤム。
彼女って友達じゃなかったのかな? もしかして、そういう関係?
一方の僕は仏頂面のおばさんとまずいビールをちびちび飲む羽目になっています。
何で僕がこんな目に? ところでゴップってくっきーにちょっと似てるな。
さすがに長時間そんな状況は耐えられないので、まだ名残惜しそうなヤムを急き立てて次へ行きます。
いつも通りゴップはチップを要求してきましたが、今日は拒否すると睨まれただけで済みました。
次はいつもと趣向を変えて『Mandarin』へ。レインボー系ではないこの店ならヤムも知り合いはいないだろうから条件はイーブンなはず。
「オーッ! ヤム!」しかしなぜか店に入ったとたん、2~3人のゴゴ嬢が駆け寄って来るのです。
そしてここでもゴゴ嬢たちを侍らせているヤムを横目に1人ビールを飲む羽目に。もちろんお勘定はすべて僕持ちです。
いったい何でヤムばかりがこんなにモテるのか。
彼はトムボーイですが、はっきり言ってブサイクです。それでもR3で働いていた頃は若くて威勢のいいお兄ちゃんという感じだったのですが、今やただのデブなのに。
すっかりご機嫌でR3へ戻るヤムを見ながら、とても理不尽で残酷な現実に僕はいつまでも納得がいかず、もやもやしておりました。
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