市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
ゴゴ嬢たちが熾烈なお客獲得競争に打ち勝つためには、やっぱり見た目が大事だというお話の続き。今回はケーススタディを見てみましょう。
【ケース9】
ゴップはナナプラザの中規模店で働いている。22歳で一人娘を故郷である東北のマハーサラカムに置いてきている。彼女は色黒でエキゾチックな容姿だったため、客層の多くはファランだったが、明るい性格だったので週に2回ほどはペイバーされていた。
ゴップには月に2~3回のペースで店に会いに来てくれる日本人の客がいた。その男性は正確にはゴップの客ではなく、前の店でゴップの友人の客だったことから友人としての付き合いが続いていたのだ。
彼がゴップの店に顔を出すのは彼女目当てに通っているというわけではなく、つき合いで顔を出す、といった程度の意味合いであり、ゴップもそれは理解していて一線を越えるつもりはない、と周囲にも語っていた。
ある日、ゴップの友人のオイが他の店から移ってきた。オイは色白で可愛らしい容姿をしていた。彼女は白人は嫌いだと公言して日本人や東アジア系の客しか相手にしなかったが、市野澤先生が店を訪れる時間帯にはたいてい既にペイバー済みだったとのこと。
ゴップとオイが連れ立って同じ客に話しかけても、客はオイに興味を示す。ゴップは自分とオイの人気の差を顔立ちやスタイル、肌の色からくるものだと考えていた。
ゴップがいうには自分は胸の大きさは負けていないのだが、お腹のたるみが問題なのだというが市野澤先生は顔立ちが原因だと思ったとか。
ゴップは店で新規の客と接するときは、オイと競合しないように意識していた。2~3人連れの客なら、オイと組めば自分にもオフのチャンスが巡って来ることもあるが、1人の客だとオイにもっていかれてしまう。
件の日本人客に関してもゴップは彼がオイと接触しないように気を配っていた(オイはたいていペイバーされて店にいなかったのだが)。
しかし、ある晩店で盛り上がった彼とオイを交えた数人が、閉店後にゴップの部屋で飲むことになってしまった。部屋で飲み明かして明け方近くになると、皆家へ帰って行き、ゴップとオイ、日本人男性の3人が雑魚寝する流れになった。
市野澤先生が数日後に聞いたところによると、自分が寝ている隣でオイと日本人男性がいちゃつきだした、といって怒っていた。ゴップも寝つけなかったのだが、2人がおっぱじめてしまったため、寝たフリをしていたのだという。
この事件を機にゴップはダイエットをすると宣言したのだが、その後とくに効果は出ていないようだ。
こういうことがあるために、ゴゴ嬢は自分の容姿をより良い見た目にしようと努力します。店内ではコスチュームがほぼ同じなので、髪形やアクセサリーなどに気を配り、タトゥーを入れてみたりもします(これは逆効果になる気も)。
顔は整形、ボディラインは豊胸手術や脂肪吸引など、改造してもより美しい容姿を手に入れようとするのです。
彼女たちは営業時間中、鏡張りのステージで自らの身体と同僚のそれとの違いをさんざん目にしているため、より気になってしまうのかも知れません。
ゴーゴーに行くと「このコ、ペイバーされることなんてあるんだろうか」っていうようなゴゴ嬢、けっこういます。
たとえみんなで胸を膨らませたり、鼻を高くしたりといろいろ頑張ったところで、みんながやっちゃえば同じになっちゃう気もしますけどね。
偽乳めっちゃ増えているし。
まあ、観ているぶんには見栄えはいいんですけどね。
結局、「天然もの」が勝つようなw
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