酔っ払ってエロエロになったフォンがとても気になっていました。
あの夜、次回こそはフォンをペイバーするとかたく心に誓ったものです。
しかし僕は次の日から2日間、後輩のMくんNくんコンビとナナプラザ以外の場所で遊びほうけていたので来られませんでした。
実はこのとき、なかなか記憶に残る事件に巻き込まれたのですが、本編とは関係ないのでまたの機会に書きます。
そんなわけで今宵こそはと勇んでR3にやってきた僕です。
こんな感じでわくわくしながらR3に来るなんて何年ぶりでしょうか。
………いや、もしかすると初めてかも知れません。
ナンとはいつの間にか何となく…って感じだし、ナン以外にこの店にお気にがいたことはありませんから。
年末もかなり押し迫ってきた時期なので、店は混んでいました。
席にすわってキョロキョロとフォンを探しますが、姿が見えません。
もしや、すでにペイバーされてしまったのかも。
「今日、フォンはいる?」
またじゃんけんゲームの獲物を見つけたとばかりにおばさんがやってきたので、聞いてみました。
しかし、僕のその言葉でおばさんはピタッと固まってしまいました。そして無言で後ずさりして店内の雑踏の中へ消えていってしまったのです。
(どういうこと? 何かまずいこときいたかな? 単に休みとかペイバーされただけだったら、ああいうリアクションはないよなあ)
何だか嫌な胸騒ぎがします。
すると久しぶりに見るノイがやってきました。日本語がまったくしゃべれないおばさんに言われて代わりに来たみたいです。
「フォン、来ない」
開口一番にノイが言います。いったい何があったのでしょうか。
「おとといファランがフォンをペイバー。ホテル行く、でもファランカネ払わない。フォン、殴る、フォンはこわい。もう来ない」
どうもファランにペイバーされてホテルへ行ったところ、お金のトラブルで殴られて部屋を追い出されたようなのです。それでこの仕事が怖くなって店を辞めたようです。
立ちんぼだと金を払わず、それに女のコが抗議すると殴る蹴るの暴力をふるうファランがいるという話は聞いたことがあります。でも、お店に所属しているコの場合、お店は何もしてくれないのでしょうか。ホテルも部屋も分かっているわけですし。
「お店、関係ない」
もちろん警察にも言いづらいでしょう。それよりも、まだこの仕事を始めてペイバーも数えるほどしか経験していないのに、そんな目に遭ったのがよほどのショックだったのでしょう。ノイによれば殴られたケガはたいしたことはないそうですが……。
もうフォンには会えなさそうです。
(あの夜にペイバーしておけば……)
いくら後悔しても、もう遅いのです。こうなってしまっては縁がなかったとあきらめるしかありません。
やはり思い立ったときにペイバーしておくべきなんですね。
いつも僕は吟味に吟味を重ねてから女のコをペイバーする傾向があります。
楽しみはできるだけ最後にとっておきたいタイプなのです。
でも、そうやってもったいぶったあげく、いざペイバーしてみたら期待外れだったとか、今回のように二度と会えなくなってしまうとか、さんざん失敗しているのですが。
しょせんゴーゴーは一期一会。一度すれ違ったからといって、次に会える保証がないのがゴゴ嬢なのです。うん、次回は絶対に即ペイバーするぞ。
そうかたく心に誓った僕でした。
それから10年以上経った今でもその誓いは果たせていませんけど。
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