R3の大晦日です。
隣の席では金髪ショートに背中にがっつりとイラストの入ったヤンキーっぽいゴゴ嬢が20代ぐらいの日本人客に「じゃんけんゲーム」を挑んでいました。
これ「じゃんけんゲーム」とか言ってるけど、フツーにじゃんけんしているだけなんだよな。ゲームでもなんでもないし。
「イエーッ!wwwww」
パツキンヤンキーが勝った両手を挙げて勝利の小躍りをしています。彼女が勝ったようです。対する20代青年はテキーラのショットを呷ります。
じっと2人の様子を見ていた僕に気づき、パツキンヤンキー嬢がニコッと微笑みます。あんまり可愛くないけど、とりあえず若いです。
「あなたも一緒にやる?」
まさかのお誘いです。3Pだったら考えるけど、じゃんけんゲームはまっぴらです。せっかく最近はおばさんにじゃんけんを強要されることもなくなったのに。
「あのう……」
僕とパツキンのやりとりを見ていた20代青年(仮にスズキくんとしておきます。名乗っていないけど便宜上)がおずおずと割り込んできました。
「よかったら一緒に入ってもらえませんか? 1対1だとペースが早すぎてキツイんですよ~。テキーラ代は僕が持ちますからお願いします」
そう言うスズキくんはすでにけっこうへろへろです。
そこまで言われたら引き下がるわけにはいきません。
僕は参加をOKしてしまいました。
もちろんけっこう年下と思われる彼におごってもらうわけにはいかないので、伝票は2テーブルぶんまとめてもらって割り勘ということにします。
でも、ちょっと癪なのでペイバーから戻って私服姿でうろうろしていたジーンをとっ捕まえて参加させました。
これでリスクはかなり分散されるはず。
そして小一時間後──。
ステージで大音響で音楽がなっていなかったら、この一角が店内で一番うるさかったのではないかというぐらい、僕ら4人のテーブルは盛り上がってしまっていました。
誰が特に負けるというわけでもなくゲームは進行していったのですが、徐々にスズキくんの正気が失われてきたようです。だんだんと目がうつろになってきて、後出ししたのに負けるなどのチョンボが目立つようになってきました。
(スズキくん、ヤバそうだなあ。そろそろお開きかな……)
そう思ったとき、不意にパツキンが「カウントダウン!」と声を上げました。
タイなまりだと「カウ、ダウ!」に近い感じに聞こえます。
ステージのほうへ目を向けると、音楽が止まって照明はカウントに合わせた点滅に変わっています。
「……スリー、ツー、ワン、……ハッピーニューイヤー!!!!」
店中でクラッカーが鳴らされ、歓声が上がりました。
僕たちも立ち上がって歓声を上げ、4人代わる代わるハグを交わします。
さっきまで僕らのデスゲームをドン引きで見ていた隣の席のファラン客とゴゴ嬢とも。
スズキくんもヘロヘロながら立ち上がって、パツキンにベアハッグのようなハグをきめられていました。
何だか楽しいですね♪
あまりに楽しくなった僕は酔ったいきおいも手伝って、ジーンをハグしたついでにチューまでかましてしまいました。
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