市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』(03年)の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
本書に描かれているシチュエーションは20年前のものなので、金額などはそのあたり含みおきください
ゴゴ嬢の思考や行動も当時とはけっこう変わってきていると思います
『経営人類学』もあと、4~5回で終了です。
終わったらどうしようかな~。最近はなかなか書いている時間もないけど、ブログ卒業も寂しいし。
前回はお客からモテることでゴゴ嬢の自己肯定感があがることがあることについて触れました。また、ゴゴ嬢はたとえ成功しても、一般のタイ社会では評価されないことについても。
ただし、最近では経済的に成功すること自体は評価される傾向にあるようです。
タイではゴーゴーで働くことは、一般の人からはあまりいい顔をされませんが、その一方で外国人男性をボーイフレンドに持つことは、たとえ相手がジジイで経済的な援助を受けていたとしても、〝フーゾクではない〟と認識されているようです。
〝仕事抜き〟の関係であれば、それは〝愛〟認定されちゃうみたい。
そもそも、そういったタイ社会の常識がわからない外国人相手の商売ということで、ゴゴ嬢はうしろめたさを胡麻化しているふしもあります。
その証拠にタイ人男性がゴーゴーバーに来ることに強烈に嫌悪感を示すゴゴ嬢は少なくないそうです。
若いタイ人女性の間では、性に対して従来とは違ったモラルが広まりつつあることは90年代以前から報告されています。
その背景にはテレビや雑誌の中の現代的女性像への憧れがあるようです。
そして、西洋的なロマンティックラブのイデオロギーが変換された〝独占的愛〟の思想があるのだといいます。
〝独占的愛〟って。ひどいネーミングですね。もう少し何とかならなかったのでしょうか。社会学者の命名らしいですが。
〝独占的愛〟とは男女とも相手以外に浮気をすることは許されない男女対等な恋愛関係だそうです。お互いに誠実な愛情さえあれば、タイでは常識的にはNGとされている婚前交渉もOKなのだとか。
そして、そんな風潮がイサーンや北部などの地方でも広まりつつあるのだそうです。
この価値観こそが、ゴゴ嬢たちが外国人客との恋人関係(疑似含む)を持つことを、正当化させている理由となっています。
〝独占的愛〟の価値観においては「結婚前の若い娘がどこの馬の骨ともわからない外国人のオトコと」と白眼視されてきた所業も、〝ステディな二人〟として祝福される傾向にあるんだとか。そんなもんなんですかねー。
もっとも上記のお話は20年ほど前の事情ですから、昨今はもっと軽くなっているようにも思えます。
そもそも婚前交渉NGだから、みんな若いうちにポンポン子供を産んで20代でシンママになって苦労しちゃっているような気もしますね。
次回はケーススタディです。
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